まめいろん

きのおもむくままに

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6 October 2019

大切なもの

大きな本屋.本棚に並んでいる無数の小説や専門書.これらをすべて読み,憶えることは不可能である.古典や思考の核とすべきものを厳選したとて,それらをすべて読み,自分の血肉とすることなど出来ないだろう.私が糧とし,深く理解して血肉にすることが出来るのは,その内のほんの少しだけである.私が知り得たと他人に言えるのはおそらく,家の本棚の一部と,自分の頭を整理して書いた日記や著書くらいだろう.

著書は独り歩きして残るかもしれないが,私の中の大切な記憶や考え方は時とともにいずれ失われる.いくら優れた知性を大切にしても,それを手放さなければならない時は必ず訪れる.それがいつかはわからない.

今この瞬間はいい.失うものもあるが得るものもある.だが年を重ね,失うもののみが大きくなる時は必ず訪れる.失い続け,最後に私に残るものは一体何だろうか.

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