きのおもむくままに
記事一覧あみだくじのきれいな形を知りたい.ふと思った.
あみだくじは,単純な線の組み合わせからなる十分きれいな形をしていて,かつ小学生でも使える意思決定の有用な方法だ.ちなみにあみだくじは阿弥陀籤と書くのだそうで,その理由は阿弥陀如来の後光に似ていたからというのは意外であった.室町時代の阿弥陀籤は中央に人の記号を書いて放射状に軸が広がる形をしていたためらしい.
十分きれいな形をしているようにみえるあみだくじを,なぜさらに別のきれいな形で表現したいのか.主な動機は,同じ結果を得るためにたくさん線を引いたものが無限に作れることが気持ち悪いと感じたためだろう.たくさん線を引けることは実用上は非常に大切だが,あみだくじの本質をより深く理解する妨げとなる.それ以外の動機として,単に文字としての美しい形を知りたいと思った.
横線を引くことで縦線の根本に書かれた情報が入れ替わることから,置換という概念と結びつく.より正確には二つの要素の置換である互換と結びつく.そして縦線を横切ってはならないという制約を課すと,それは隣接互換である.また全ての置換は,隣接互換の積で表せる.
全単射で,それ自体の中で形を変える自己同型写像であることが群という概念と結びつく.群の定義は逆元の存在するモノイドだが,全単射であることから逆写像が存在することがわかり,それが逆元となっている.そして全ての置換の可能性を含む群を対称群という.
あみだくじの「きれいな形」を知るためには,対称群という数学的形式の造詣を深めばよい.