まめいろん

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26 June 2022

人類の制御理論としての政治哲学

(加筆中)


(構成メモ)


はじめに

社会や人の歴史はたいへん興味深く,多くの人を惹きつけるテーマである.私もこのテーマに惹かれる仲間の一人である.テーマ自体への関心もさることながら,何故われわれがこのテーマに惹きつけられるのかも興味深い.ゆえにまず,このテーマに惹きつけられる理由を探るところから始め,続いてテーマそのものについて考え,最後に純粋な興味(人が作り出す社会とは何か)への回答と今後われわれが目指すべき方向性について,私なりの考えを記したい.

内省の結果,このテーマに向かう潮汐力は次の二つであると思い至った.一つは報酬系1に根ざすもので,もう一つは恐怖系2に根ざすものである.

一つ目の報酬系に根ざすものとは,簡単にいえば知的好奇心である.わからないものをわかったと感じるとき,われわれは快いと感じる.それは知的成功体験の積み重ねであり,報酬系のドーパミン放出によって感じる快楽である.そして成功体験を重ねるうちに,わからないものに手をのばせば届きそうだと感じた時に原動力が湧き出るようになってくる.いわゆるパブロフの犬である.社会や人の歴史といったものは非常に流動的かつ複雑で,手が届くと心が感じるには長い知的準備期間が必要である.一方で,手に入れば非常に大きな報酬が入ると感じさせる壮大なテーマである.

二つ目の恐怖系に根ざすものとは,簡単にいえば自己保全本能に基づくものである.恐怖の源泉はさまざまである.いじめ・家庭内不和・会社での人間関係などの身近で感じる不条理から,直接的ではないがニュースで流れる景気悪化や戦争まで,自己保全本能を刺激する問題は世の中にあふれている.こうした苦痛や不快感を長期的に感じ続ければ人は参ってしまうため,何らかの防衛機制がはたらく.防衛機制には様々なものがあるが,その内の一つである昇華が働く場合,それは間接的に興味の扉をひらく.この究極的な例として私が思い浮かべるのはヴィクトール・フランクル3であり,目の前の現実を俯瞰する性質により,ここに至ると思われる.われわれを苦しめるさまざまな現実問題とこうした性質が相まって興味へと昇華され,繰り返し対象に向かう潮汐力となって現れるのである.

このような正と負の潮汐力が働くこの興味深いテーマをどう考えていこうか.まずわれわれが参考にすべきは自己超越した真の(野心や恐怖によって現実を歪めたりせず,かつ思索の才能を与えられた)歴史家や政治哲学者たちが積み上げてきた史実や政治哲学理論であると言いたい.物理工学者である私が中途半端に同じ道を辿っても,この問題に人生の全てを捧げてきた探求者が辿り着く深みには至れないだろうと正直感じる.だがこの興味深い問題をゆずる気はない.なぜならこれは私の楽しみである.そこで人類社会ほどではないが複雑な工学システムを作る中で鍛えてきた自然科学的洞察に基づき,社会システムを類推していくという方法をとることにする.

具体的に,私は次のことを公理として出発する.

「人が作る社会とは,さまざまな要素が複雑に絡みあうシステムである.」

まず,システムとは何か,社会をどのようなシステムとして捉えればよいか,社会システムの中での政治理論の位置づけは何かを考える.これらはより単純な工学システムの類推によって明らかにしてゆく.社会システムにおける政治理論の位置づけが観えてきたら,全体のうっすらとした流れ(歴史)からなるべく加工されていない要素(代表的哲学者とその周辺史実)を抽出する.続いて要素に対する理解を深める.最後に全体として再構成していくという方法をとろうと思う.歴史や政治哲学が専門外の私にとって,とくに全体の流れ(歴史)の理解が浅いことと,要素(政治哲学理論)に対する理解が浅いことは,あらかじめ注意しておく.


工学システムと社会システム,社会システムにおける政治理論

★古典制御とのアナロジー

社会は巨大なシステム。これはしっくりくるのではなかろうか。 では政治哲学理論は、社会システムにおける制御理論である。こう聞いてどのくらいしっくりくるだろうか。

人は単純な機械ではない。

工学システムとその制御

システムとは何か。

例:エアコン

抽象:固定制御理論

relations

Fig.1: Control system

エアコン

社会システムにおける政治理論

人はコンデンサや抵抗とは違う. だが単一ではないにせよ,ある一定のスペクトル(夜と霧の観察)をもつ統計的対象であろう.

relations

Fig.1: System

要素(=政治哲学思想≒哲学者)抽出のための歴史

政治の枠組みを作った/壊した思想/理論. まずは仮定.勝者の歴史を見ていて,ある限られた視点から. 大量の写真やデータなどの証拠に基づくものではなく,主観によって積み上げられたものを見ていることは認識しなければならない. 歴史書なども,そうした事実をさらに伝言ゲームでゆがんだものを見ているに過ぎない. 結局大きな有機体として自分の理解を醸成しつつ,より客観的なものに対して常に窓を開いて理解をより確からしいものに近づけていくほかない. 教科書はそうした集合知としてあるべきであるが,個人の理解はより有機的でなければならない. そうでなければ全体をみて,要素に分解し,より先にあるものを思い描くことはできない.

relations

Fig.1: History

要素の考察:代表的哲学者とその思想

トマス・ホッブズ (Thmas Hobbs 1588-1679)4

清教徒革命が思想形成に大きな影響を与えていると考えられる. 貧富の差が拡大(なぜ拡大したか).財政難の中での王権神授説(既得権益への固執).ピューリタン(カルヴァン派思想の浸透の背景).

未来を予見できる自己保存を本質とする人間たち.思い思いに自然権を行使し未来の保身に走る.混乱を避けるため自然権の一部を国家に譲渡する必要がある.

ジョン・ロック (Jhon Locke 1632-1704)5

王政の終焉,議会制への移行という大きな流れの中. 王権神授説の否定.権力分立論.(現在の権力構造に通じるモンテスキューによる三権分立の基礎.) 名誉革命の正当化.名誉革命=王権の制限と議会政治の基礎,カトリック否定.

ジャン=ジャック・ルソー (Jean-Jacques Rousseau 1712-1778)6

社会契約説に至るホッブズ、ロックとの本質的な違いは何か. 理論より,他者によるルソー論が支配的でなかなか本質が見えてこない.

イマヌエル・カント (Immanuel Kant 1724-1804)7

カントは影響が大きいが,政治哲学理論では除いて,倫理学的に扱うべきかもしれない.

カール・マルクス ()8
ジョン・ロールズ (John Rawls 1921-2002)

全体の考察

さいごに

人が作る社会とはいったい何か
この先われわれが目指す方向について

  1. 報酬系の説明.扁桃体投射. 

  2. 恐怖系の説明.扁桃体投射. 

  3. ヴィクトール・フランクル,「夜と霧」,みすず書房.例えば彼は次のように語っている (p.178 より引用) 「私のあらゆる思考が毎日毎時苦しめられざるを得ないこの残酷な脅迫に対する嫌悪の念に私はもう耐えられなくなった。そこで私は一つのトリックを用いるのであった。突然私自身は明るく照らされた美しくて暖かい大きな講演会場の演壇にたっていた。私の前にはゆったりとしたクッションの椅子に興味深く耳を傾けている聴衆がいた。……そして私は語り、強制収容所の心理学についてある講義をしたのだった。そして私をかくも苦しめ抑圧するすべてのものは客観化され、科学性のより高い見地から見られ描かれるのであった。―――このトリックでもって私は自分を何らかの形で現在の環境、現在の苦悩の上に置くことができ、またあたかもそれがすでに過去のことであるかのようにみることが可能になり、また苦悩する私自身を心理学的、科学的探究の対象であるかのようにみることができたのである。」 

  4. トマス・ホッブズ - Wikipedia 

  5. ジョン・ロック - Wikipedia 

  6. ジャン=ジャック・ルソー - Wikipedia 

  7. イマヌエル・カント - Wikipedia 

  8. カール・マルクス - Wikipedia 

tags: 政治哲学,人,社会